「タイにおる日本人は、なんかがあるんや。なんかがあるから、タイにおるんや。そやからな、そう深く聞いたらあかんのや。」
私がタイへ渡って間もない頃にお世話になった、タイに詳しいある日本人がそのように語っていた。
「俺もお前も、日本には居れん何かの理由がある。だから、今こうしてタイにおるんや。」
その日本人というのは、ちょっとばかり名前が通った人物で、今もその人物を知る人間は多いかと思う。
大変意味深長な言葉であったのだが、日本でもタイでも、波乱万丈な人生を生きて来られたその人物だからこそ心に響くものがあった。
さて、私は、タイのお寺で3年間出家生活を送ってきた。
出家生活であるのだから、お寺の中での生活しか知らない。
タイへ入国したすぐその日の夜からお寺でお世話になった。
私がタイのお寺以外での生活を知っているのは、還俗してお寺を出てから、帰国の準備を整えるまでのしばらくの期間だけである。
せっかくタイへ来たのだから、まぁ、少しばかりの観光を楽しむのもよかろうと、ご縁のあった方々への帰国の挨拶を兼ねて、少しだけバンコクに滞在したのであった。
その間にタイ人の友人がバンコク市内へと連れていってくれた。
それはさておき、ここでのお話は、タイには変な日本人がたくさんいて、非常に驚いたという話題だ。
多くの日本人が感じておられるように、一旦、日々の生活の中へと入ってしまうと、なかなか旅どころかお出かけすらできない。
そもそも、自由な時間が取れない。
ところが海外には、そんな常識を思っいきり覆してまうかのような、ちょっとばかり変わった日本人がたくさんいるのである。
これがまた、実に変な日本人がたくさんいてびっくり仰天であった。
宿をシェアした日本人旅行者に記念にと
撮影していただいた思い出の一枚である。
“変な日本人”として一番驚いたのは、オーバーステイ20年以上という初老の男性だろう。
すでにビザもパスポートも持っていないのだと言っていた。
・・・変というよりも、それは不法滞在であり、違法行為だ。
仕事も一体何をやっているのかすらわからない。
見るからに怪しげな風貌で、長い髭を蓄えた男性であったことを記憶している。
この界隈の日本人の間では少々有名な人物なのだそうで、おそらくここをお読みの方も知っている人がいるのではないだろうか。
どういうわけかバンコクには、自称・ジャーナリストがたくさんいるようである。
おそらく、バンコクとシンガポールは、東南アジア圏の一大拠点となる都市であるため、取材や諸々の仕事のために滞在することが多いのだとか。
これまた、見るからに怪しげな風貌の自称・朝〇新聞のジャーナリストと話したことがある。
大層立派な名刺までいただいた。
非常によく喋る方で、こちらのほうがうんざりとしてしまうほどよく喋る。
しかし、この怪しげな風貌の自称・ジャーナリスト。
帰国後、偶然にも新聞に掲載されているのを見かけることができた。
どうやら本物のジャーナリストだったようである。
もう一人、私と同じ仏教系の大学の仏教学科出身だということで、意気投合したジャーナリストがいた。
私は、R大学の仏教学出身。
その方は、O大学の仏教学出身だ。
仏教学科の出身者というのは、お寺の世界であれば、ごく当たり前なのであるが、一般世間ではめったに出会わない、とても珍しい存在なので、たとえ他大学であったとしても、同じ学科の出身者だというだけで大変親近感があるのだ。
これは、仏教学科出身者にしかわからない感情なのかもしれないが。
この方は、バンコクを中心に東南アジア全体を駆け回りながら活動を続けているそうだ。
おもに、民族問題や宗教問題などを中心に、知られざる真の姿へと迫るために日夜情報を収集しているのだという。
やはり、バンコクで何をやっている方なのか、本当にジャーナリストなのかどうかもいまいちよくわからないのであるが、一応は、きちんとした著書をお持ちのようで、著書のタイトルを教えていただいた。
帰国後、すぐに図書館へ行って、その著書を読んだ。
私は、この方の論調は好きである。
しかし、日本の社会の潮流に歓迎されないためなのだろうか。
その後、現在に至るまで、日本でその方のお名前を見掛けたことはない。
大変私のことを気に入ってくださったようで、
「君の活躍を期待しているよ!」
と言って滞在しているホテルの連絡先を教えてくださった。
日本から一度だけ手紙を書いたが、ホテルもあくまで仮の住まい。
返信はなかった。
一ヵ所には定住しない主義なのだと語っていた。
これらの方々は、変な日本人だといっても、まだまだ普通の生き方の部類であると思う。
海外には、もっともっと、
「はぁ!?」
と、ついつい驚きの声をあげてしまうような、実に変な日本人がたくさんいるのだ。
しかし、どの方も活き活きとしながら、目を輝かせて話されていたことが、大変印象的だった。
それにしても、みなさま方、日本語に飢えているからなのであろうか。
あるいは、持論を熱く展開させたいのであろうか。
よく喋ること、よく喋ること・・・。
変な日本人の部類に含まれるくらいの生き方をしているのほうが、面白いのではないか!
かく言う私も、こうした変な日本人の一人である。
(『タイにいる日本人は、何かある人間なんや』)
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