最近、このブログでは、“思うこと”の話題が続いているが、今回は、バンコクのワット・パクナム(以下、パクナム寺院と表記する)について綴ってみたいと思う。
今、2012年に完成したというパクナム寺院の仏塔が大変熱いらしい。
所謂“インスタ映え”するということで大きな話題を呼んでいて、インスタグラムでその美しい仏塔の画像が爆発的に拡散されたということだそうだ。
インターネットで「ワット・パクナム」と検索をかけると、すぐにその画像が出てくることからも、その拡散ぶりがわかるかと思う。
今やバンコクの一大観光寺院となっているようで、寺院の観光案内や解説を加えているサイトも多く存在する。
本来、パクナム寺院は、観光寺院などではなく、バンコク市内のチャオプラヤー川の対岸に位置する、どちらかといえば、落ち着いた街中にある由緒ある寺院だ。
とはいえ、もとより一流の学問寺として名高く、有名寺院のひとつではあった。
また、タイで大変著名な高僧であるルアンポー・ソッド師の寺院としても有名で、さらにソッド師のご利益がある寺院としても知られており、ソッド師のお守りが多数頒布されている寺院でもある。
いずれにしても、大寺院であり、有名寺院であることには変わりはない。
正式名称:
ワット・パークナーム・パーシーチャルーン
話題の仏塔内部の美しいエメラルドグリーンの空間
(画像:タイ国政府観光庁の公式サイトより)
パクナム寺院は、日本でもその名前を知られているタイ寺院のひとつだ。
以前より日本との関係が深い寺院で、留学生が行き来している他、千葉県成田市にパクナム寺院の別院が建立されているなど、日本とは大変馴染みのあるタイ寺院でもある。
しかし、本来は、ルアンポー・ソッド師が創始した瞑想法を修行する瞑想寺院であったことを知る日本人は、どのくらいいるだろうか。
そう、ソッド師は、ご利益をいただける神格化された僧侶というだけではなく、実在した著名な瞑想指導者であったのである。
もっとも、現在のパクナム寺院は、瞑想寺院の面影はごくわずかしか見られず、この大寺院が瞑想で名を馳せた寺院であるということを知って参拝に来る日本人は少ないのではないかと思う。
ルアンポー・ソッド師は、正しくは、チャオクン・プラ・モンコン・テープムニー師といい、ソッド師が創始した瞑想法でタイ全土に名を馳せた高僧である。
「ソッド」師というのは、親しみを込めた呼び方で、いわばニックネームである(タイではニックネームで呼び合う習慣がある)。
今でもソッド師の遺体が安置されており、その部屋へ参拝できるようになっている。
もちろん、私も参拝させていただいた。
ソッド師の瞑想法は、タイでもよく知られており、日本で広くテーラワーダ仏教の瞑想法が知られるようになるはるか以前に日本で紹介されているし、日本から何人もパクナム寺院へ留学している。
先にも触れた通り、現在のパクナム寺院は、瞑想の寺院というよりは、学問寺とご利益のある寺院として、常に人でにぎわっていて、瞑想寺院としての面影はないに等しい。
唯一、境内には“瞑想発展会館”と呼ばれる建物があり、そこで毎日瞑想指導や瞑想実践がおこなわれているに留まっている。
瞑想で言えば、ソッド師の瞑想法の系譜上にあるワット・タンマカーイ(タンマカーイ寺院)のほうが非常に活発であるというのが現在の状況だ。
小冊子の表紙の写真がソッド師
(チャオクン・プラ・モンコン・テープムニー師)
さて、日本で私のことを唯一応援してくださった先生も、タイで出家をされ、瞑想修行をされたご経験をお持ちである。
その修行をされた地こそが、ここパクナム寺院なのである。
ソッド師とは、直接の面識はなく、先生が滞在された時にはすでにご遷化なされた後であったとのお話を聞いている。
当時、瞑想指導にあたっておられたのが河北国雄師という日系のタイ人で、私の先生はその河北師の最初期の教え子にあたるそうである。
パクナム寺院に留学した日本人は多く、同時に、この河北師から瞑想指導を受けた日本人は多いことと思う。
そのような関係から私の先生から、瞑想修行に励まれていたその当時のお話をたくさんうかがっている。
現在のパクナム寺院は、落ち着いた街中に位置するとはいっても、やはり街中は街中である。
大変賑やかだ。
近くには運河が流れているのであるが、これは想像の域を出ないが、私の先生が滞在された50年前は、それはそれは大変美しい古き良きタイの景色が展開されてのではないだろうか。
そんな素朴な一面が残る寺院である。
とにもかくにも、私にとっては、尊敬する先生が修行をなさった寺院ということで、少々特別な寺院であり、実際に訪問できた時の感動はひとしおであった。
私が訪問し、滞在した頃は、ここに仏塔を建立する予定があるから、寄付をお願いしますといった看板が掲げられていたであろうか。
日本へ帰国し、ごく最近になってインターネットの情報から、仏塔が完成したらしいという知らせを耳にしたときには、嗚呼、あの仏塔が完成したのか、といったことを思っただろうか。
そんなパクナム寺院がバンコクの一大観光寺院となっているのには、正直なところ驚いたのであるが、もともと有名寺院であるのだから、それもご尤もな話だろうとも思う。
寺院関連の美術であっても、信仰とはあまり関係のない現代日本の美しさとは一味違って、タイの美しさには仏教の深い意味が込められている。
その意味で、非常にタイらしいと感じる。
いずれにしても、インスタグラムを開けば、すぐにタイの景色が見れるというこの時代に、ただただ驚くばかりである。
画像を繰っていくと、なんとチェンマイにある私が滞在していたことのある寺院の写真まであるではないか。
思わず嬉しくなった。
パクナム寺院のように有名寺院ではなく、ごくごく小さな下町の寺院であるにも関わらずである。
どうやらチェンマイ市内の寺院をくまなく撮影しているらしい。
どの国にもマニアはいるようである。
(『バンコクのパクナム寺院のこと』)
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