タイ佛教修学記

佛法を求めてタイで出家した時のこと、出会った人々、 体験と学び、そして心の変遷と私の生き方です。


礼拝

阿羅漢であり正等覚者であるかの世尊を礼拝いたします

ナモータッサ ・ パカワトー ・ アラハトー ・ サンマー・サンプッタッサ(3回)


2010/04/28

スアンモーク(スアン・モッカバラーラーマ僧院)


スアン・モッカバラーラーマ僧院、一般にスアンモークと呼ばれている。

ここは、プッタタート師(英語:ブッダダーサ)によって創建された修行場である。


プッタタート師は、タイではその名を知らない人はいない程、非常に有名な僧侶である。

スアンモークというその名も広く知られている。


数あるタイの寺院や森の寺の中で最も有名な修行場のひとつだ。

私は、かねてより一度はここで修行をしてみたいと考えていた。


タイ国内からも出家、在家を問わず、毎日多くの人が訪れる。

海外からの修行希望者も受け入れており、スアンモークにほど近いところに外国人専用の修行場が併設されている。

寺に留まって、長期間修行生活を送る者もいる。


特に出家者向けには、毎月1日から14日間の修行コースが組まれており、集中的な修行をすることができる。


タイ全土から、この修行コースに参加する者も多い。

また、一時出家の最後をスアンモークで過ごし、この修行コースをその締めくくりとする者もいる。


この14日間の修行コースに参加した者は、期間中の私語は厳禁されており、食事、掃除、水浴び・・・全ての時間において誰とも話すことはできない。

また、筆記用具や認められているごく少数の物を除いた、一切の物品の持ち込みも厳禁されている。

もちろん書籍も禁止である。


私も最初に持ち物のチェックを入れられた。


一冊の書籍を指摘された。

それは、日本語で書かれたプッタタート師の著書で、瞑想実践に関する書籍であった。

1ページ目に飾られているプッタタート師の写真を見せて、師の著書で瞑想実践のための書籍であることを説明して、これだけは持ち込みを許可していただいた。


この記事をお読みの方で、2週間全く誰とも話さず、パソコンやテレビ、本や携帯電話などが全くない生活を送ったことのある方ははたしてどれだけいるでしょうか・・・


現代人にとっては、それだけでも貴重な生活だ。



さて、寺での生活。


朝4時の起床に始まり、瞑想、勤行、そしてまた瞑想。

朝8時に朝食をとる。

スアンモークでは、食事は朝8時の朝食一食のみ。

その後は、朝食後とお昼に休憩が入る以外は、夕方4時の掃除までそれぞれ瞑想に励む。

掃除の後、水浴びの時間を経て、夜の勤行。

そして瞑想、就寝。


これが14日間続く。


非常に質素な生活である。

14日間の修行コースの期間が終了してからも、そのまま寺に留まることもできる。

コース終了後の寺での日課もおおよそ、上記の通りで変わらない。

自分の納得のいくまで瞑想修行を続けることができる。



ここでの瞑想法は、呼吸を観察する瞑想法であるアーナパーナサティが推奨されている。

私は、なかなか意識を集中させることができず、瞑想をしたと言うにはほど遠い状態でしかなかった。

しかし、ここでの経験が最終的にアーナパーナサティを自分の瞑想法として選択するに至るきっかけのひとつとなった。


◎関連記事

『アーナパーナサティ』

『ある森の寺での生活』


このような環境で瞑想に打ち込み、修行に励むことができたことは、非常に有意義であった。

今も深く印象に残っている。

もっともっと寺に留まって修行に打ち込みたい・・・そう思わせる環境だ。


文字では表現しづらいが、私はこれこそ原始の仏教の姿を感じることのできるスタイルだと感じた。


瞑想をする場所は、一応集団生活なので、中央にある広場で行うことにはなっているが、特に決められているわけではなく、適当に好きな場所を選ぶ。


瞑想しやすい木の影や涼しい場所を選んで、そこに座して瞑想を行う。


朝夕の勤行も、外で行う。


仏像もない。

建物もない。


ただ広場に比丘達だけが座して行う。


食事も外だ。

朝のまだ穏やかな日差しを浴びながら、自分の鉢に向かって食事をとる。


瞑想も外。

食事も外。

勤行も外。


ブッダの時代にはこうして出家生活を送り、ひたすら瞑想に励んだのであろうか。

まるで経典に出てきそうなブッダの時代を想わせる生活だ。


あたかもどこかからブッダの声が聞こえてきそうであった。


比丘たちよ・・・



(『スアンモーク』)



【ご案内】

<追記:平成27年(2015年)1月15日>

『仏教人生読本』

『観息正念』


これらはプッタタート師の著書で、私が出家中に何度も何度も繰り返し読んだ書籍である。

プッタタート師の思想に触れることができる数少ない貴重な日本語訳の書籍で、私個人の感想ではあるが、内容が非常に素晴らしい。


私は書籍を読んだが、現在は絶版となっているためCD-R版として頒布されている。


今回、許可を得て連絡先(下記)を掲載させていただくことができた。

希望される方や関心のある方には、是非ともおすすめしたいと思う。


『アジアのお坊さん 番外編』「仏教人生読本」「観息正念」頒布のお知らせ

(プッタタート比丘著『仏教人生読み本』『観息正念』(三橋ヴィプラティッサ比丘日本語訳・PDF版 CD-ROM)



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