タイのお坊さんの席順は、血筋や家柄などではない。
そもそも出家者は、家庭を持つことができないのであるから、出家に世襲などあり得るはずがない。
よって、仏教のお坊さんが世襲というのは、タイの仏教からすれば、とんでもない話なのである。
タイの仏教を知る者から言えば、周知のことであるのだが、お坊さんの席順は、家柄でもなければ、年齢でもない。
出家前の富や地位などでももちろんない。
お坊さんの席次は、出家した順である。
一分でも一秒でも早く出家した者が先輩となり、出家が遅かった者が後輩となる。
出家の順が席の順だ。
非常に明解である。
これは、どれだけ地位の高いお坊さんになろうとも変わらない。
それゆえに、出家した日時というのが非常に重要な記録となる。
出家の証明書(日本でいう度牒にあたる)には、何年の何月何日の何時何分に出家をしたと時刻までが詳細に記載される。
私の出家証明書にももちろん記載されている。
ちなみに、私は、沙弥出家と比丘出家の2つの証明書を持っており、今でも大切に保管している。
さて、日本では法臘(ほうろう)というが、出家後の年数の数え方がある。
比丘は、この年数が大変重要で日頃からよく使う。
タイでは、この基準が安居(パンサー)を何回過ごしたかで数えていく。
一回安居を過ごしていれば1パンサー、二回安居を過ごしていれば2パンサーという。
そうした関係上、一時出家は安居前に多い。
一時出家と言えども、安居を過ごしているので、出家歴は1パンサーだと答えることができるからである。
このパンサー数は、日常的に関わってくるため、比丘は、常に意識している。
例えば、朝の托鉢時の列、食事の際の席順、信者さんのお宅でのおよばれの際の席順も全て同様である。
よそのお寺へ行った際も、必ず互いにパンサー数を確認する。
お坊さん同士のコミュニケーションでは必須事項であると言える。
このように、タイのお坊さんの席次は非常に明確である。
出家前の地位や身分、血筋や暮らしは全く関係がない。
出家が早い者が先輩。
出家が遅いものが後輩となるルールだ。
これは、ブッダ以来の伝統であり、インド以来の決まり事である。
日本であれば、僧侶の世界であっても、時々、席次で揉めたり、地位や肩書のことで云々することが多々あるようである。
そのような景色を見るたびに、シンプルなタイのお坊さんの世界のことを思い出す。
これは、喧嘩がなくて非常に良い。
仏教は、非常に考えられている。
さすがはブッダである。
(『タイのお坊さんの席順』)
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