タイ佛教修学記

佛法を求めてタイで出家した時のこと、出会った人々、 体験と学び、そして心の変遷と私の生き方です。


礼拝

阿羅漢であり正等覚者であるかの世尊を礼拝いたします

ナモータッサ ・ パカワトー ・ アラハトー ・ サンマー・サンプッタッサ(3回)


2013/03/18

そしてタイへ


上座仏教について片っ端から調べた。


しかし、上座仏教についての情報は少なかった。

当時、上座仏教関連の書籍は、それほど多くは出版されていなかった。


上座仏教の国といえば、タイ・ミャンマー・スリランカが知られている。

そのなかで、タイ仏教とミャンマー仏教についての書籍が数冊出版されており、瞑想関連の
書籍をはじめ、入手できる書籍を全て読んだ。


ネットはまだまだ充実していなかった時代だった。

メールでのやり取りが少しづつ普及し始め、ホームページが充実しつつあるといった時期であった。

ネットではほとんど有力な情報は得られなかった。


上座仏教については、学生時代に講義を受けたことがあったが、あくまでも概論で、仏教の核心に迫るものは何ひとつなかったように記憶している。


ただ、講義中に、担当教授の若かりし頃、タイで2年間の出家を経験したことがあるという話をされていたことを覚えているだけだ。

当時は、特に意識もせずになんとなく講義を聴いていた。

しかし、今、振り返ってみると、こうして私自身が上座仏教に興味を抱き、出家を志しているということも、何かの縁なのかとも感じる。


一般的に仏教の瞑想に興味を持つとなれば、「禅」から入る人が多いのではないだろうか。

ところが、私は禅には興味を持たなかった。

高潔な方との出会いも全くなかったためか、当時の私には、たとえ禅に励んだとしても、悟りに近づけるとはどうしても思えなかったからだ。


その一方で、上座仏教の瞑想には魅力を感じた。

禅のように理屈っぽくなく、よりシンプルで、この自分にも実践でき、かつ悟りに近づけるような気がした。

また、その論理は学生時代から学んできた仏教となんら矛盾するところがなく、すっと私の腑に落ちた。


もうひとつ、「森の寺」の存在を知ったことが大きかった。

上座仏教の寺といえば、きらびやかな寺院や美しい姿の仏塔を想像するが、森の寺は違う。
簡素な建物と簡素な生活、そして静寂の中での瞑想生活・・・。


ブッダの時代を彷彿させる生活スタイル。


上座仏教への想いはさらにかき立てられた。


しかも、誰もが出家することができ、さらに外国人へも門戸が開かれているというところも魅力に感じた。



こうして、私の心はいつしか「出家」を志すようになっていった。



その後・・・出家に向けて様々な人をたずね歩いた。


書籍の著者に連絡を取った。

電話をかけ、手紙を出した。

大学の教授とも連絡を取った。


・・・現在では個人情報保護の関係で不可能かもしれないが。


日本国内で開かれている上座仏教の瞑想会へも足を運んだ。

情報収集のため、そして瞑想についての基礎を身につけておきたいと考えたからだ。


上座仏教圏の仏教事情やそれぞれの国の事情についても調べた。


タイやミャンマーには、一時出家の習慣があり、誰もが出家を経験すること。

(※一時出家・・・男性は、一生に一度は寺院に入って出家をして比丘となる習慣のこと。)


同じ上座仏教国であっても、スリランカだけはやや事情が異なること。

スリランカには一時出家の習慣がなく、多くは一生比丘を続けるということ。

それゆえ、スリランカでは外国人は出家がしにくいということ。


タイとミャンマーとでは、タイのほうが政情が安定しているということ。

タイには日本の企業も多く、たくさんの日本人が在住しているということなど。


多くの方との出会いにも恵まれた。

実に多方面の人脈をたどり、タイやスリランカで修学をされた経験を持つ方を紹介していただき、実際に会うことができたことは幸運であった。


ある著名な本の著者の方から直接話をうかがえたことや、タイで生活をされている日本人でタイの大学で講師をされている方とも連絡を取ることができたのも非常に幸運であった。


タイで出家をされた日本人比丘の方とも会う機会にも恵まれた。



政情が安定しており、日本人にとって入国しやすい国。

外国人にも広く出家の道が開かれていて、外国人僧侶もたくさんいる国。

そして、仏教や瞑想を学ぶことのできる国。


それが「タイ」という国であった。


まさに東奔西走であった。

そのような中、やっとの思いでタイの寺に取り次いでいただける方と出会うことができたのだった。

とても幸運だった。

こうしてタイという国とつながることができた。


求道の一心でタイへ渡ることを決意した。


未知の国・タイへ・・・

ひとりで旅立った。



⇒タイに到着してから出家まで。

『初めてのタイ』



(『そしてタイへ』)



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