タイ佛教修学記

佛法を求めてタイで出家した時のこと、出会った人々、 体験と学び、そして心の変遷と私の生き方です。


礼拝

阿羅漢であり正等覚者であるかの世尊を礼拝いたします

ナモータッサ ・ パカワトー ・ アラハトー ・ サンマー・サンプッタッサ(3回)


2015/01/25

スアンモーク(再掲載)

今回、プッタタート師の書籍や法話等に関するページを管理されている方より私の記事にリンクを貼らせていただくことをお許しいただきました。

そこで、2010年4月(平成22年4月)にアップした記事『スアンモーク』に再度、加筆・修正を加えて、今回再アップすることに致しました。
記事の内容としては、以前のものと同様ではありますが、再アップするにあたって大幅に文章を再構成しています。

すでにご存じの方も多いかもしれませんが、記事の末尾に案内させていただきました。
是非とも参考としていただきたいと思います。


<スアンモーク(再掲載)>

スアン・モッカバラーラーマ僧院、一般に「スアンモーク」と呼ばれている。
ここは、プッタタート師(英語:ブッダダーサ)によって創建された修行場だ。

プッタタート師とは、タイではその名を知らない者はいない程、非常に高名な比丘である。
その著書は、英語にも訳されており、世界的にも著名な人物だ。

スアンモークというその寺の名も同様、プッタタート師ゆかりの寺として広く知られている。
数あるタイの寺院や森の寺の中でも、最も有名な瞑想修行場のひとつとなっている。

私は、かねてより一度はスアンモークで修行をしてみたいと考えていた。

幸いに、出家中にこのスアンモークで一時を過ごすことができた。
また、14日間の集中的な“修行コース”へも参加することができた。

その時のことを交えて紹介させていただきたいと思う。


スアンモークは、タイ・南部、スラーターニー県のチャイヤーというところにある。
幹線道路沿いに位置しており、長距離バスのバス停にもほど近いため、バンコクのバスターミナルから長距離バス1本で向かうことができる。

バス停に降り立ち、ここがかのスアンモークかとやや緊張しながらスアンモークの森の中へと入った時のことを思い出す。

スアンモークへは、タイ国全土から出家者、在家者を問わず、毎日多くの人が訪れる。
数日間だけ寺に留まる者から、長期間寺に留まって修行生活を送る者もいる。

また、タイ人ばかりではなく、海外からの修行希望者も広く受け入れており、スアンモークにほど近いところには、外国人専用の修行場も併設されている。

さらに、境内には仏教書籍の販売所もあり、タイ語の仏教書をはじめとして、たくさんの英語の仏教書なども揃っている。
風の便りではあるが、近年、日本語のものも置かれていると聞く。

まさに、学びのための、そして修行のための寺である。


スアンモークでは、特に出家者向けに、毎月1日から14日間の修行コースが組まれており、集中的な修行をすることができる。
参加者達は、期間中、寺に止住する一般の比丘達とは離れたスペースで生活を送る。

タイ全土から、この修行コースに参加する者も多い。
また、一時出家の最後をスアンモークで過ごし、この修行コースをその締めくくりとする者もいる。


この14日間の修行コースの参加者は、期間中における一切の会話が厳禁される。
瞑想中はもちろんのこと、食事、掃除、水浴びなど、全ての時間において誰とも一切話すことができない。

さらに、筆記用具と認められているごく少数の物を除き、一切の物品の持ち込みも厳禁される。
もちろん書籍も禁止だ。

私もコースに入る一番最初に持ち物のチェックを入れられた。

一冊の書籍を指摘された。

それは、日本語で書かれたプッタタート師の著書で、瞑想実践に関する書籍であった。
1ページ目に飾られているプッタタート師の写真を見せて、師の著書で瞑想実践のための書籍であるということを説明して、これだけは持ち込みを許可していただいた。


身の回りには何もない。
他人と話すこともない。

ただひたすらに自分自身と向き合うしかない。

いよいよ瞑想実践の始まりだ。

日本の生活で、2週間全く誰とも話さない生活。
パソコンやテレビ、本や携帯電話なども全くない生活。
このような生活を送ったことのある方ははたしてどれだけいるだろうか・・・

そのような生活を送ることは非常に難しい。

現代人にとっては、それだけでも大変貴重な経験だ。


さて、14日間の修行コース中の寺での生活。

朝4時の起床に始まり、瞑想、勤行、そしてまた瞑想。

朝8時に朝食をとる。

スアンモークでの食事は、朝8時の朝食一食のみだ。

朝食後とお昼に休憩が入る以外は、夕方4時の掃除まで、各自瞑想に励む。

夕方4時の掃除が終わると、水浴びの時間を経て、夕の勤行が始まる。

静かにお経を読み始め、終わると静かに瞑想の時間へと移る。
その頃には、周囲は夜となり、暗闇となっている。

その後も、各自で瞑想、各自で就寝する。

この生活が14日間続く。

非常に簡素で、質素な生活だ。

14日間の修行コースの期間が終了してからも、そのまま寺に留まることもできる。
コース終了後の寺での日課も、おおよそ上記の通りで変わらない。

自分の納得のいくまで瞑想修行を続けることが可能なのだ。


ここでの瞑想法は、プッタタート師が実践していた呼吸を観察する「アーナパーナサティ」である。

私は、なかなか呼吸を見つめ、意識を呼吸に集中させることができなかった。
瞑想をしたと言うにはほど遠い状態でしかなかった。

しかし、ここでの経験が最終的にアーナパーナサティを自分の瞑想法として選択するに至るきっかけのひとつとなった。

⇒関連記事
『アーナパーナサティ』

『ある森の寺での生活』

このような環境の中で瞑想に打ち込み、修行に励むことができたことは、私には非常に有意義であった。
今でもとても深く記憶に残っている。

もっともっと寺に留まって修行に打ち込みたい・・・そう思わせる環境だ。


文章では表現しづらいが、私はこれこそ原始の仏教の姿を感じることのできるスタイルだと思った。

瞑想をする場所は、一応は集団生活であるため、中央にある広場で行うことになっているが、特に決められているわけではなく、適当に各自が好きな場所を選ぶ。

瞑想しやすい木の影や涼しい場所を選んで、そこへ座して瞑想に打ち込む。

朝・夕の勤行も、中央の広場で行う。
砂が敷かれただけの何もない広場だ。

仏像もない。
仏具もない。
建物もない。

ただの広場に比丘達だけが座してお経を読む。

食事もまた中央の広場でとる。

朝のまだ穏やかな日差しを浴びながら、静かに比丘達が座す。
そして、ただ自分の鉢に向かって黙々と食事をとる。

瞑想も外、勤行も外、食事も外。

ブッダの時代にはこうした出家生活を送り、ひたすら瞑想に励んだのであろうか。
まるで経典に出てきそうなブッダの時代を想わせる生活スタイルであった。


嗚呼・・・ブッダよ!
悟りを得たい!


あたかもどこからかブッダのよび声が聞こえてきそうであった。

比丘たちよ・・・




【プッタタート師についてのご案内】

ターン・プッタタートの講義と著作・翻訳等の法施小屋

プッタタート師の生涯やその思想、著作や講義・法話等を日本語でわかりやすく紹介しているサイトである。

日本では、プッタタート師に関する人物像、講義・法話等は、あまり広く知られてはいない。
タイを代表する比丘のひとりであるプッタタート師を日本語で知ることのできるとても貴重なものである。

プッタタート師の講義や法話から、非常に生き生きとした仏法が伝わってくる。

今回、サイトの開設者様より、リンクの許可をいただき、ここに掲載させていただくことができました。
プッタタート師に関心のある方は、是非ともご参照いただきたいと思う。

ターン・プッタタートの講義と著作・翻訳等の法施小屋



【プッタタート師の日本語訳書籍(PDF版 CD-ROM)のご案内】


『アジアのお坊さん 番外編』「仏教人生読本」「観息正念」頒布のお知らせ
(プッタターと比丘の著作頒布についての重要なお知らせ)


『仏教人生読本』
『観息正念』

私がタイでの出家中に繰り返し、何度も読んだ本がある。
それは、日本語に訳されたプッタタート師の著書、『仏教人生読本』と『観息正念』である。

記事の中で触れている、唯一持ち込みを許された“日本語で書かれたプッタタート師の著書”というのが、この『観息正念』であった。
この書籍には、アーナパーナサティの概要がわかりやすく、かつ詳しく説明されている。
瞑想実践を進めるうえにおいて指南ともなる書で、非常に参考になるものである。

日本では、タイで言うところの「縮み・膨らみの瞑想」(マハーシ系の瞑想法)に関する書籍のほうが多いため、アーナパーナサティについての書籍は貴重であるともいえる。

『仏教人生読本』には、仏教についての概略が示されており、タイトルの通り仏教の生き方がとてもわかりやすく説明されている。
日本の数ある仏教書とは異なり、仏教の息づかいが聞こえる、非常に生き生きとしたもので、大変に素晴らしい書籍である。

私は、タイという地で、また出家という立場でこれらの書籍を読んだということもあり、当時、非常に感銘を受けたことを覚えている。

瞑想法についてというよりも、「仏教」そのものへの理解が深まるものである。
また、プッタタート師の思想に直接触れることのできる数少ない貴重な日本語訳の書籍でもあるので、関心のある方には是非ともおすすめさせていただきたいと思う。

プッタタート師の書籍の頒布を取りまとめておられる方の許可のもと、今回ここに掲載させていただくことができました。

私は書籍で読みましたが、現在は絶版となっているためCD-R版として頒布されている。
ご興味のある方は、下記までご連絡いただきたい。


『アジアのお坊さん 番外編』「仏教人生読本」「観息正念」頒布のお知らせ
(プッタターと比丘の著作頒布についての重要なお知らせ)


リンクを貼ることをお許しいただいた両氏にあつくお礼を申し上げるとともに、深く感謝させていただきます。



(『スアンモーク(再掲載)』)

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

質問させて頂きました。

匿名 さんのコメント...

現在は10日間コースのみを提供されているようですね。

http://www.suanmokkh-idh.org/idh-general.html

4 月にタイに行く機会がありましたので、是非参加できればと考えております。情報、ありがとうございます!

Ito Masakazu さんのコメント...

ブログをお読みいただきましてありがとうございます。また、メッセージをいただきましてありがとうございます。

ブログの記事は、私がタイで出家をしていた頃のものですので、すでに情報としては少々古くなっていますが、何卒ご容赦ください。

タイへ行かれるのですね。有意義なものとなりますよう心より願っております。
機会がございましたら、是非ともその時のことなどをお聞かせいただければと思います。

今後ともよろしくお願い致します。