タイ佛教修学記

佛法を求めてタイで出家した時のこと、出会った人々、 体験と学び、そして心の変遷と私の生き方です。


礼拝

阿羅漢であり正等覚者であるかの世尊を礼拝いたします

ナモータッサ ・ パカワトー ・ アラハトー ・ サンマー・サンプッタッサ(3回)


2012/11/20

瞑想修行のできる寺

タイの寺は、どこの寺であっても出家・在家、老若男女を問わず、だれでも宿泊や滞在が可能であり、瞑想を学び、実践することが可能だ。

そして、タイでは今、非常に瞑想が盛んである。

しかし、瞑想修行をするのであれば、よき指導者がいる寺、そして修行に適したよき環境の寺を選択することが重要である。

特に、日本からタイへ行く場合、「時間や日程の制限」や「日本人(=外国人)」という条件の中で、寺で滞在することが可能なのだろうかという戸惑いがあるかもしれないが、仏教を学びたい人、あるいは誠意ある人であれば、いつでも誰でも受け入れてくれる。

そこがタイの寺のよいところである。

近年、インターネット等で情報が格段に得やすくなったうえ、学術書をはじめ、瞑想関連書籍、体験記・旅行記など、上座仏教関連の書籍が多数出版されており、日本にいながらにしてある程度の知識や外郭をつかむことが可能である。

しかし、それでも知ることのできない情報があることかと思う。

そのようなことがらをここでご紹介できればと思っている。

私がタイでの修行を志した時に感じた思いやその情報の少なさに非常に苦労をした経験から、少しでもお役に立てればとの思いで、『瞑想修行のできる寺』と題して、ここに紹介をさせていただきたい。

ここでは、縁あって私が直接触れることのできた寺のうち、比較的有名な寺をピックアップして紹介する。

当ブログ内で紹介させていただいているページにリンクしています。その寺の瞑想法についてや関連する出来事・エピソードなどを紹介しているページです。できるだけ内容の重複を避けるため、詳しくはそちらを参照していただきたい。


〇ワット・マハータート
所在地:バンコク
瞑想法:膨らみ縮みの瞑想法(マハーシ式瞑想法)
関連ページ:
『縮み・膨らみの瞑想法』

ワット・マハータートは、マハーニカイの中心寺院である。寺の一角に瞑想用の部屋があり、一般にも解放されている。しかし、バンコク市内の真ん中にあり、一般のタイ人参拝者や観光客も多く、決して静かな場所であるとは言い難い。
タイの文化や寺院などに興味のある方や単に瞑想に興味のあるといった方にはおすすめできるかもしれないが、本格的に瞑想を学びたい方やある程度まとまった期間の実践を希望する方にとってはあまりいい環境とはいえないかもしれない。

〇ワット・パークナーム(ワット・パクナム)
所在地:バンコク
瞑想法:サンマー・アラハン(法身瞑想法)
関連ページ:
『サンマー・アラハン』

正しくはワット・パークナーム・パーシーチャルーンという。日本で『ワット・パクナム』と言えば、この寺を指すが、バンコク市内には『ワット・パクナム』という同名の寺がいくつかあるらしい。バンコク市内でもワット・パクナムと言えば、たいていはここの寺を案内してくれるが、「パーシーチャルーン」まできちんと伝えないと、どこのワット・パクナムなのかがわからず、別のワット・パクナムに案内されることもあるという。
タイ国内でも、有名な寺のひとつである。通称、サンマー・アラハンの瞑想法、いわゆる法身瞑想法の発祥の寺であるが、現在では、瞑想寺というよりも、どちらかと言うと学問寺に近い性格の寺となっている。タイ国全土から仏教の学問を志して多くのサーマネーン(沙彌)達が寺院内の学校で勉学に励んでいる。また、日々多くの参拝の人々で常に賑わっている。
現在でも瞑想指導が行われており、瞑想を学ぶことができる。しかし、決して静かな環境ではなく、瞑想に励む僧も決して多くはない。修行寺という性格は薄くなりつつあるようである。

〇ワット・プラ・タンマカーイ
所在地:パトゥンターニー県
瞑想法:サンマー・アラハン(法身瞑想法)
関連ページ:
『ワット・パクナムとワット・プラ・タンマカーイの瞑想法』

『ワット・プラ・タンマカーイ~その特徴~』

『ワット・プラ・タンマカーイ~寺での生活~』

詳しい紹介は、上記の記事を参照していただきたい。
ワット・パクナムと基本的には同様の瞑想法をとっており、タイの新興仏教勢力として大きなグループを形成している。ただし、厳密にいえば、タイでは一般的にワット・パクナムとは一線を引いて認識されているようである。
寺は、外国人も積極的に受け入れており、非常に組織立っている。そして、非常に真面目である。
広い参拝者用のエリアも整えられているが、修行に重きを置く出家者専用のエリアもしっかりと整えられており、修行環境が整っている寺でもある。
近年、日本へも別院が数箇所建立されており、活発な活動をしている。興味のある方は、たずねられるといいかもしれない。日本語でタンマカーイの活動や瞑想法を知ることができる。
ただし、タンマカーイについては、タイ国内においても賛否両論のあるグループであるということも付記しておく。

〇ウィウェーク・アーソム・ヴィパッサナー瞑想センター
所在地:チョンブリー県
瞑想法:膨らみ・縮みの瞑想法(マハーシ式瞑想法)
関連ページ:
『縮み・膨らみの瞑想法』

ウィウェーク・アーソム・ヴィパッサナー瞑想センターは、ビルマ(ミャンマー)の著名なヴィパッサナー瞑想の指導者、マハーシ長老の弟子(Dr.パッタンタ・アーサパ長老)がタイ国サンガの要請に応じて、タイ人および外国人に瞑想指導を行っていた場所である。つまり、タイにおけるマハーシ式ヴィッパサナー瞑想法の草分け的存在のひとつであるといえる。現在、タイにおいても主要な位置を占めるこの瞑想法も、こうした伝道者がいて今日があるのである。
今も長老の弟子たちがその教えを受け継ぎ、各地で後進の指導にあたっている。この瞑想センターでも、比丘や一般の在家者達が常時、瞑想修行にはげんでいる。
(参考文献:『ウィパッサナー瞑想・修習の導き』)

上記のとおり、マハーシ長老の直弟子による瞑想センターであるが、現在はセンターの周囲がすこし賑やかになっており、決して静かな環境であるとは言い難い側面もある。

〇ワット・パー・スカトー
所在地:チャイヤプーム県
瞑想法:ワット・パースカトー瞑想法
関連ページ:
『ワット・パースカトー瞑想法』

日本において日本人上座仏教比丘として最も有名である坂本師(プラユキ・ナラテボー師、通称・プラユキ師)が副住職をつとめる寺である。近年、インターネット上での記事や多くの書籍などで紹介されているので、おそらくご存知の方も多いであろう。
ワット・パー・スカトーは、実に静かな環境の森の寺で、あたかも古い経典に登場してきそうな雰囲気の寺である。坂本師からも、非常に丁寧な指導をしていただくことができる。
この瞑想法は、タイでは比較的マイナーな瞑想法で、やや特徴的な瞑想法である。しっくりくる方もいれば、しっくりと来ない方もいるかもしれない。そこは、実際に実践されることをおすすめしたい。
イサーンの信心深い人々と澄み切った静かな雰囲気の森の寺。静かな環境で瞑想修行を志される方にはとてもよい寺である。

〇スアンモーク
所在地:スラーターニー県
瞑想法:アーナパーナサティ(呼吸に密着した瞑想法)
関連ページ:
『スアンモーク』

プッタタート師(英語名:ブッダダーサ)によって創立された寺である。タイでは非常に有名な修行寺で、バンコクから多くの比丘や在家者達が修行に訪れる。敷地内には書籍の販売所もあり、タイ語の書籍をはじめ、英語の書籍が購入可能である。近年、日本語版のものも少数ながら置かれていると聞いている。
在家者であっても滞在が可能である。常時たくさんの人が滞在しているが、原始の仏教の姿を感じ取ることのできる数少ない素晴らしい環境の寺である。

〇ワット・ノーンパーポン
所在地:ウボンラーチャターニー県
瞑想法:アーナパーナサティ(呼吸に密着した瞑想法)
関連ページ:
『ワット・ノーンパーポン』

アーチャン・チャー師による森の寺グループの中心的な寺である。外国人専門の寺であるワット・パー・ナーナチャートや日本人上座仏教比丘であるアーチャン・カベサコ師によるワット・パースナンタワナラームもこの寺のグループであり、基本的には同一の日課や同一の瞑想法をとる。

〇ワット・パー・ナーナチャート
所在地:ウボンラーチャターニー県
瞑想法:アーナパーナサティ(呼吸に密着した瞑想法)

〇ワット・パー・スナンタワナラーム
所在地:カーンチャナブリー県
瞑想法:アーナパーナサティ(呼吸に密着した瞑想法)




※参考 【下記の記事に興味のある方は参照してください。】

・森の寺や修行寺全般についての記事

『ある森の寺での生活』・・・ラベルは「出家の日々」

『ある朝の托鉢』・・・ラベルは「出家の日々」


・タイの寺全般について記事

『タイの寺あれこれ』・・・ラベルは「タイの寺院」

『タイの森の寺』・・・ラベルは「タイの寺院」



タイの寺は誰でも快く受け入れてくれる。外国人であっても快く受け入れてくれる。
もちろん、上記以外にも瞑想指導をしている寺はたくさんあり、どこの寺であっても快く受け入れてくれる。
指導を受けるには、タイ語ができればよりベストであるが、おおむね英語で通じる。

また、寺にはタイ語や英語の小冊子や瞑想指導書があるので、購入して参照されるとよい。
時には、プレゼントしてくれる寺もある。

寺によってさまざまな瞑想法があることはすでに紹介したとおり(各関連ページを参照)であるが、自分の目指す瞑想法があれば、その寺を目指されるとよい。
特定の学びたい瞑想法がないのであれば、各地をまわって自分にしっくりとくるものを選んでみるのもよい。

また、タイの方々と直接話す機会があるのであれば、よい寺・おすすめの寺を教えてもらうのもよい。
現地での聞き込みやタイの人々とのふれあいもまた貴重で、重要である。

タイへ行く機会があれば、ぜひともタイの仏教に直接触れられることをおすすめしたいと思う。
真摯に仏法を学ばれる方であれば、何かを感じ、多くのことを学ぶことができることと思う。

きっと。

仏法を学ぶことを志される方や瞑想を学ぶことを志される方のお役に立つことができれば幸いに思います。



日々の生活が佛・法・僧の三宝の限りない威力によって、明るく穏やかなものとなりますように。



(『瞑想修行のできる寺』)

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

日本人女性が出家(もしくは出家に近い状態)できるお寺はタイにはございますか?
1年程度では真の仏教を学ぶのは難しいと思うので、5年以上の期間、日本人女性が出家(もしくは出家に近い状態)することは可能ですか?

Ito Masakazu さんのコメント...

コメントをいただきましてありがとうございます。そしてブログを閲覧していただきましてありがとうございます。
ご質問についてですが、すでにご存知かとは思いますが、上座仏教において女性の僧侶、つまり比丘尼というものは存在しません。それは、長い上座仏教の歴史の中で比丘尼教団の伝統が途絶えてしまったためです。ですので、タイにおいて女性が出家をして僧侶になることはできません。
しかし、タイにもメーチーという女性で出家者に近い生活を送っている人達がいます。ところが、位置としては「在家信者」という位置づけです。このメーチーは、剃髪をして白い衣を着て生活をしており、僧侶に準じた生活を送っていますが、あくまでも寺に住む在家信者という位置づけなので、寺の中ではたとえば厨房を担当したりと出家者が携わることを禁じられているような作務を担うことになりますが、女性ではこのメーチーが一番出家(僧侶)に近い存在であるといえます。
また、寺にはメーチー以外にもたくさんの在家の女性信者・在家の女性修行者が住み込んでいる寺もあります。メーチーという形でなくとも、一般の女性信者として寺で過ごすことも可能です。それは当ブログでも紹介させていただいている通り、外国人であっても可能です。
タイにおいて出家をすることは不可能ですが、女性であっても出家に近い形で寺の中で生活をすることは可能です。
もし支障がないようでしたら、その他関連事項のご質問等、直接メールをいただけるとより詳しくお伝えできるかと思います。

匿名 さんのコメント...

こんにちは。はじめまして。
タイでの出家修行について、質問があり、ブログトップページに記載されていたメールアドレスにメールを送信させていただきました。一読いただければ幸いです。

また、このコメントは目を通していただいた後、削除していただいてかまいません。
よろしくお願いいたします。

Ito Masakazu さんのコメント...

ブログをお読みいただきましてありがとうございます。そして、コメントをいただきましてありがとうございます。

直接メッセージをいただきましてありがとうございます。ご返信をさせていただきますので少々お時間をいただきたいと思います。

いろいろなことについてお話をさせていただければ幸いに思います。今後ともよろしくお願いいたします。

匿名 さんのコメント...

はじめまして。
先日、メールで質問させていただいたものです。
もしよかったらご返信いただけるとうれしいです。

Ito Masakazu さんのコメント...

ブログをお読みいただきましてありがとうございます。
また、メールをいただきましてありがとうございます。

返信が大変遅れてしまいましたことをお詫びいたします。
申し訳ございませんでした。
先ほどご返信させていただきました。

今後ともよろしくお願いいたします。