タイ佛教修学記

佛法を求めてタイで出家した時のこと、出会った人々、 体験と学び、そして心の変遷と私の生き方です。


礼拝

阿羅漢であり正等覚者であるかの世尊を礼拝いたします

ナモータッサ ・ パカワトー ・ アラハトー ・ サンマー・サンプッタッサ(3回)


2019/08/19

瞑想で病気が治癒するのか?



近年、瞑想がとても盛んになっている。


瞑想に関するサイトも数多く存在するようになった。


私がタイへ渡った頃の様子とは大きく変わった点のひとつだろう。


瞑想が盛んになり、ブッダの智慧やその魅力が広く知られるようになったのは大いに喜ばしい。



そのようななかで、しばしば見かけるのが「瞑想で病気が治癒するのか?」という話題だ。


特に鬱などの「心の病」についてである。



私の結論から言えば、治癒するものもあれば、治癒しないものある。


改善が期待できるものもあれば、期待できないものもある、といったところだろう。


あくまでも、これはケースバイケースなものであるので、一概に言えるものではないということは最初に断っておきたい。



もしも、具体的に検討をされたいという方がおられるとすれば、その人のことをよく知る瞑想指導者や主治医となる医師などとよく相談のうえで慎重に進められることをお勧めする。





写真:『Forest Sangha Calendar 2017・2560』より





是非とも医療に詳しい方との意見交換を求めたいところではあるが、私の経験から言えば、瞑想だけで病を完全に治癒させることは困難な場合があるのではないかと思う。


もっとも、病の状況や段階にもよるが。


端的に言えば、少々厳しい言い方ではあるが、病になってからでは遅い。


これは、私自身も常々気にかけていることではあるが、日頃から心を整えておくこと、つまり日頃から瞑想を実践しておくべきである。



瞑想の実践によって、より適切な判断力を身につけて、より冷静な行動力を身につけることができるからだ。


結果的に、瞑想で回避できることも多くあるのではないかと思う。


また、自分自身の精神に負担がかかっていると感じたら、早めの対策を考え、事前に対処することもできるようになるだろう。



ところで、実際によくいただく質問に、瞑想で腰の痛みが治癒するかどうか、瞑想で頭痛が治癒するかどうか、という質問がある。


これは、心の病とはやや種類が異なるが、瞑想に取り組むことで改善が望める類のものではある。


ただし、物理的な面において問題があったり、内的な面において問題があるのであれば、それはすでに瞑想云々の範疇ではないので、医療機関や医師に相談するべきだろう。


瞑想とは、心を落ち着かせて、心を整えることによって、より冷静な見方にしてくれる、すなわち“智慧”を磨くところにその目的がある。


毎日瞑想を実践し、毎日心を養ってこそのものだ。


その結果、ものごとの感じ方が変わり、とらえ方や理解の仕方が変わってくるのである。


そして、長い目で見て、人生そのものの変革につながるものである。


その“過程”において、“結果的に”病が治癒するといったプロセスだろう。




さて、タイには、例えばアルコール中毒の人を社会復帰させることを目的として患者を受け入れているお寺がある。


私が滞在していたことがある森の修行寺でも、そうした受け入れを実施していた。



お寺ではもちろんお酒はご法度だ。


身の回りには、アルコール類そのものがない。


口にすることもなければ、臭いをかぐこともない。


眼に入ることすら一切ない。



それだけではなく、仏教的な学びや瞑想の機会もある「お寺」という環境は、患者にとってはぴったりの環境なのであろう。



また、タイの森の修行寺は、実に静かな環境である。


そうした環境の中に身をおくだけでも十分な療養となるし、十分な心の静養ともなる。


うした意味では、タイの森のお寺ではなくとも、日本であったとしても、少し落ち着いた静かな環境に身を置いて、瞑想に取り組むことで状態の改善が期待できると言うことは十分にあり得ることなのではないかと思う。



私の現在の見解としては、瞑想で対処が可能なものもあるかとは思う。


しかし、病になってからでは改善が難しく、不可能な範囲のものもあるので、もし瞑想をメンタルヘルスやセルフケアに役立てようというのであれば、実践はより早くから取り組むのが望ましいといえるのではないだろうか。


さらに、瞑想と医療的処置とを併用していくことが最も効果的なのではないかとも考えている。


また、瞑想以外の他のメソッドなどとも一緒に並行していくことも有効な手段のひとつなのではないかと考えている。



瞑想は、毎日コツコツと実践しながら、心を育てていくものであり、養っていくものである。


いわば心のトレーニングだ。



「瞑想で病気が治癒するのか?」と問われれば、治癒するかしないかなのではなくて、“病にかかりにくくなる”というのがその答えなのではないかと思う。


病になろうと、そうでなかろうと、毎日瞑想とともにあることが大切である。



心身一如」と言うけれども、心と体はあくまでも“一体の如し”であって、“同じ”なのではない。


心と体の双方が健全であり、健康であってこそ、本当の健康である。


とりわけ、「病は気から」とも言うように、心の健康は非常に重要だ。



ぜひとも、毎日瞑想を実践され、日常より“友”とされることをお勧めしたいと思う。





(※この記事の内容は、私一個人の経験に基づいた現在の私の見解です。

瞑想は、一定の効果は期待できるものではありますが、効果を保証するものではありません。

あくまでもケースは個別のもので、それぞれの状態や状況によって異なります。

全て同じであるというわけではありませんし、慎重な対処が必要な場合もあります。

ゆえに、一概に言えるものではないという点を念頭におきながらお読みいただければ幸いです。

また、少しでも参考にしていただくことができましたら幸いです。)





(『瞑想で病気が治癒するのか?』)





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