ところが、このウィサーカブーチャーは、お釈迦様の誕生日(誕生)であると同時に、悟りを開かれた日(成道)であり、お亡くなりになられた日(涅槃)であるとされており、これら3つの出来事が同時に起こった日であるとされている。
さて、日本の仏教では、お釈迦様が誕生された日は4月8日であるとされている。
この日は、灌仏会、(釈尊)降誕会、一般的には花まつりと呼ばれている。
花で飾られた花御堂の中に立つ誕生仏に甘茶をかけてお釈迦様の誕生をお祝いするこの行事は、ご存知の方も多いのではないかと思う。
この日は、灌仏会、(釈尊)降誕会、一般的には花まつりと呼ばれている。
花で飾られた花御堂の中に立つ誕生仏に甘茶をかけてお釈迦様の誕生をお祝いするこの行事は、ご存知の方も多いのではないかと思う。
日本の仏教では、お釈迦様の誕生、成道、涅槃の日は、タイのように同じ日ではなく、それぞれ別々の日であるとされており、お釈迦様が誕生されたのが4月8日、悟りを開かれたのが12月8日、お亡くなりになられたのが2月15日であるとされている。
それぞれに灌仏会(花まつり)、成道会、涅槃会として各寺院において行事が行われている。
お釈迦様は、誕生後すぐに天と地を指差して7歩歩いたという点はタイも日本も同じだ。 「そこはタイも日本も同じだね」・・・そうした会話をタイ人比丘と交わしながら、彼と心が通い合ったことを覚えている。 |
お釈迦様が生まれた日と、悟った日と、亡くなった日が全く同じ日だったなんてあり得ないのではないか・・・日本人であればそのように考える人が多いのではないだろうか。
実は、私も全く同じ日であったというよりも、それぞれ別の日であったと考えるほうが自然なのではないかと考えていた。
タイのお寺で過ごしていた当時、タイ人比丘に日本ではそれぞれ別々の日であるということを話したことがあった。
全く同じ日であるということに対して何の疑問も感じていない様子で、むしろ彼らは「何もおかしいことはない。」と言うのであった。
はじめからそうだと教えられるのだから、タイ人も日本人もそれぞれの説に対して、何も疑問を抱いていないというのは当然と言えば当然のことなのかもしれない。
ある日本人から、思わず感嘆する解説を聞いたことを思い出す。
お釈迦様の「誕生」、「成道」、「涅槃」とが単に同時に重なったというのではなく、ウィサーカブーチャーとは紛れもなく「“ブッダ”が誕生した日」そのものなのだという。
それは、一体どういうことなのだろうか。
日本で言うところの4月8日は、ゴータマ・シッダールタ、のちのブッダがこの地球上に生まれた日だ。
ブッダとは、「目覚めた者」や「悟った人」を意味する言葉であるが、テーラワーダ仏教では、基本的には「ブッダ」と言えばお釈迦様ただ一人のことを指す。
ゆえに、ゴータマ・シッダールタの誕生日がのちにブッダとなった“その人”の誕生日だということである。
これは、私達がごく普通に考えるお釈迦様の誕生日だ。
次に、日本で言うところの12月8日は、お釈迦様が悟りを開いた日で、ゴータマ・シッダールタが出家し、修行の末に菩提樹の木の下で悟りを開いて覚者であるブッダとなった日だ。
“目覚めた者”となった日で、すなわち「ブッダ」が誕生した日ということである。
この日、「ブッダ」が“誕生”したわけである。
そして、日本で言うところの2月15日は、お釈迦様がお亡くなりになった日で、入滅すなわち般涅槃(はつねはん・完全なる涅槃)に入られた日である。
お釈迦様は、悟りを開いて“目覚めた者”になったとは言え、生身の肉体とともにある以上は、未だ完全であるとは言えず、肉体の消滅である死によって完全かつ完璧な悟りの境地を得ることできた日ということだ。
つまり、「“完全なるブッダ”が誕生した日」ということである。
単に「ブッダの誕生日」と言った場合、これらの3つの意味合いが含まれるということで、どれも“ブッダ”の誕生日なのだから「誕生」、「成道」、「涅槃」とが同じ日であっても何も問題はないのだとその日本人は言っておられた。
この解説を聞いて、私は「なるほど」と思った。
「誕生日」といえば、誰もが人間として生まれた日のことしか思い浮かべないだろう。
私は、固定観念にとらわれ過ぎていたのかもしれない。
しかしながら、この解説は、タイ人から聞いた答えではない。
タイでは一体どのように理解されているのだろう。
仏身観の変遷を感じ取れなくもない。
いつか機会があれば尋ねてみたいと思う。
もし、この方面に明るいお方がいらっしゃれば、是非ともご教示願えればと思う。
(『お釈迦様の誕生日』)
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2 件のコメント:
ブログ拝見しました。
「”ブッダ”が誕生した日」という解釈、初めて知りました。勉強になりました。
私も、上座仏教で、誕生、成道、涅槃の日が、同じ日付けというのは何か不自然だなとは思っていました。本当に同じ日付けだったのか、何か理由があって同じ日付けとしたのか興味深いですよね。
ミャンマーに行く機会があったら、ミャンマー人に「誕生、成道、涅槃」の日が同じということをどう思っているのか尋ねてみようと思います。
パーラミー様
ブログをお読みいただきましてありがとうございます。
そして、コメントをいただきましてありがとうございます。
タイの方々は、誕生、成道、涅槃が全て同一の日であるということについて、はじめから“それが当然”なので特に違和感を感じている様子は全くありませんでした。むしろ「どうして違う日なんだ?そちらの方がおかしいとは思わないのか?」といったようなニュアンスのことを言われてしまう程でしたが、この解釈を初めて聞いた時には「なるほど!」と唸りました(笑)。
同時にタイでは教学的・文献的にどのように理解をされているのか、あるいはその他の上座仏教諸国ではどのように考えられ、理解をされているのかということについて、とても興味が湧いてきて、もっと深く知りたいと感じました。私も、タイ人をはじめ、縁のある方々にも尋ねてみたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
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